自分が生まれ育った和歌山県の串本ってところは、紀伊半島の最南端の部分にあるんです。
本当になにもないって感じの場所で、空気も景色も綺麗だし、海はとっても美しいんですが、それにしても遊ぶ場所もないんです。
都会に住んでる人たちが、カラオケで暇つぶしなんて言っているのをネットとかテレビとかで見るんだけど、俺たちそんなことすることができないんですよね。
地元の中学校から、地元の高校に入学して無事卒業、そして結局、この地元串本で仕事をするようになりました。
それでも高校生の頃とかは友達と一緒に遊ぶこともできたし、それなりに楽しむことができていたんです。
だけど、漁師の仕事をするようになってからは時間が合わなくなってしまいました。
俺の仕事は昼間には終わってしまうんだけど、他の奴らはまだまだ仕事や勉強をやっている時間。
朝は早いから夜は早寝しないけいけないしで、結局は漁師の仕事が終わってからは昼間ただゴロゴロしているという状況でした。
仕事を始めたから、地元で一人暮らしを始めていたから余計にやる事もなく、退屈な毎日を味わうようになってしまったんです。
漁師の仕事自体は嫌じゃないんだけど、この昼間の時間のつぶし方に頭を悩ませるようになってしまったんです。
都市に住んでいれば問題ないような事も、ここ串本では結構大変だったりもするんですよね。
もう少し遊ぶような場所があればいいのに、そんなこと考えてばかりでした。
考えてみれば、他の漁師たちは昼間なにをやっているのか?
結婚している人たちはまだ良いにしても、独身の漁師はどうやって時間をつぶしているのか?
これってとっても不思議に感じるようになっていたんです。
やっぱり自分みたいにゴロゴロしているだけなのか?

なんて考えていました。